ZEH仕様にするには、250万~300万円程度の追加費用が必要
(2016年9月1日)
ZEH仕様の住宅にするには、省エネ基準よりもさらに20%以上の省エネを達成しなければいけません。高断熱建材を使い、高性能設備機器を整備する必要があります。
そのため、通常の住宅と比べて必要となる追加費用は、250万~300万円ほどといわれます。
「多くの家庭が、250万~300万円かけて実際にZEH化を達成している」
(高橋和道・SII審査第二グループ長、朝日2015年11月14日)
※SII(環境共創イニシアチブ)は、ZEH補助事業の事務局を務める団体です。
ZEH仕様とするのに必要となる追加費用に対して、国は一律定額125万円の補助金を交付する制度設けています。ですから、実質的な負担は、125万~175万円です。
加えて、再生エネ発電で「1次エネルギー消費量」を実質ゼロにしなければならないので、太陽光発電システムの設置が必要です。一般住宅で敷地内に風力や小水力、ましてや地熱・バイオマス発電設備を整備することはないでしょう。
住宅用太陽光発電設備を設置するのに、標準的な出力4kWシステムで、140万円程度(2015年10-12月)が相場です。
つまり、ZEH仕様の住宅にするのに必要な追加費用は、実質トータルで、265万~315万円程度となります。300万円前後といったところです。
割高感はありますが、夏でも冬でも、ほとんどエアコンに頼ることなく快適に過ごすことができ、長期的にみれば光熱費を大幅に節約できます。また、「省エネ設備を整備すれば、創エネ設備が補助される」と考えれば、おトク感が増すのではないでしょうか。
お住いの自治体によっては、高断熱建材や高性能設備、太陽光発電設備の導入に対して独自に補助金を設けているところもありますから、もう少し引き下げられる場合があります。
ハウスメーカーも一斉にZEH化を加速
国が「2020年までに新築住宅の半分以上をZEHにする」という方針を示したこともあり、大手住宅メーカーは、一斉にゼロエネルギー住宅(ZEH)の販売を強化しました。
ZEH規準の高断熱建材や高効率の省エネ設備機器が標準仕様化されることで、費用の低下が期待されます。
ミサワホーム
ミサワホームは、2016年4月14日に「ZEHロードマップ(ZEH普及目標)」を発表しました。
ミサワホームは、1998年に世界で初めてゼロエネルギー住宅を発売。2009年には業界初の「ゼロCO2」の第三者認証を取得するなど、住宅のエネルギー技術をリードしています。
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|---|
20% |
50% |
70% |
80% |
90% |
積水ハウス
積水ハウスは、ゼロエネルギー住宅「グリーンファースト ゼロ」を2013年4月に発売開始。「平成26年度 省エネ大賞 審査委員会特別賞」 (一般財団法人 省エネルギーセンター)を受賞しました。
東北北部レベルにまで高めたハイグレード断熱仕様と省エネ設備により、消費エネルギーを一般的な住宅より4~5割削減できる性能があるとされています。
「2015年度に売り上げた新築戸建て住宅のうち、70%以上がゼロエネルギー住宅」(日経2016年6月24日)という実績です。
パナホーム
パナホームは、2018年に戸建て全商品を100%ZEH化する目標を掲げ、パナソニック製の太陽電池「HIT」や蓄電池を組み合わせた新たな住宅の販売を強化しています。
HIT太陽電池は、トップレベルの変換効率・発電量があり、平均的な太陽光発電システムの搭載量(4.56kW、2014年度)で、ネット・ゼロ・エネルギーを越える暮らしも実現可能とされています。
まとめ
いまは割高感のあるZEHですが、2020年にむけ、ハウスメーカーでZEH仕様が標準化されると、費用が下がることが期待できます。
ただし、そのころにはZEH化への国の補助金はなくなっているでしょう。ZEH補助金は、長くて2018年度までの見通しです。
太陽光発電の買取価格も下がりますから、同じように余剰電力があっても売電収入は減ります。FIT制度そのものが先行き不透明です。
そういったことをトータルで考える必要があるでしょう。
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