太陽光買い取りに入札制導入を検討開始

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コスト効率的な導入を促す買取価格決定方式へ

(2015年10月21日)

経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)で、太陽光買い取りに入札制を導入する検討に入りました。

 

10月20日の総合資源エネルギー調査会・再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会に提案しました。

 

欧米に比べ太陽光導入コストが高い

太陽光発電システム価格は市場拡大により低下してきましたが、設備費用・工事費用とも日本のコストは、欧米に比べ高い水準です。

 

太陽光発電システムの導入費用(2014年)

太陽光発電導入費用国際比較(2014年)

※ 経済産業省の資料より

 

再生可能エネルギーの導入拡大に向け、固定価格買取制度(FIT)は、重要な役割を果たします。しかし、将来的に「再生エネの自立化」へ向け、よりコスト効率的な導入を進める必要があります。

 

そのため、「事業者のコスト低減への努力を促すような買取価格設定の仕組み」へ、見直しが進められています。

 

コスト効率的な導入を促すための対応策

対応策として経済産業省が示した案は、次の4つです。

  • 現行価格決定方式の厳格化
  • 一定比率で毎年価格を低減させる方式(価格低減率をあらかじめ決定)
  • 導入量に応じて価格低減率を変化させる方式
  • 市場競争を通じた価格決定方式(入札制)

 

経済産業省は、それぞれの買取価格決定方式について、メリット・デメリットとして論点を示しています。

 

メリット デメリット
現行方式の厳格化 直近(前年)の導入量やコスト実績データを踏まえて価格決定するので、柔軟な対応が可能。 価格設定を誤ると、急速な導入拡大や急激な導入停滞を生む恐れがある。年度毎に価格を決定するので、事業者にとっては予見可能性が低い。
価格低減率をあらかじめ決定する方式 事業者が将来の価格を見通せる。予見可能性が高い。事業者によるコスト低減努力、イノベーションを促しやすい。 技術革新やコスト変化が著しい場合、将来を見通した価格低減率の設定が難しい。
導入量に応じて価格低減率を変動させる方式 導入実績に応じた価格決定の実現を目指す仕組み。 導入量と低減率という2つの要素を決める必要があり、適正な数値を設定するのは難しい。事業者にとって導入量を予見することは困難。買取価格に関する予見可能性が低い。
入札方式 事業者は、自分で決めた入札額に基づくため、買取価格が予見可能となる。競争を通じてコスト効率的な事業者から導入が進むことが期待される。 そもそも落札できないリスクが生じる。

 

ドイツのFIT制度の変遷

ヨーロッパでは、2000年代後半、太陽光パネルの急速な価格低下の中で、FIT制度の見直しが行われてきました。ドイツのFIT制度の変遷をあげておきます。

 

2000年〜
2001年

価格維持方式
2000年4月に再生可能エネルギー法で50.62ユーロセント/kWhと規定。20年間適用。
法改正を行わない限り買取価格は変動せず。

2002年〜
2008年

一定比率で毎年価格を低減させる方式
長期的に一定比率の低減率を設定。
(建物固定は年▲5%、地上設置は2006年以降▲6.5%)

2009年〜

導入量に応じて価格低減率を変化させる方式
直近1年間の太陽光発電導入総量に応じて、買取価格を低減する仕組みを導入。
(2009年〜1年ごと、2012年1月〜半年ごと、2012年4月〜毎月)

2015年〜

地上設置型太陽光に入札方式を試験導入
事業者が支援を受ける価格水準について入札し、応札金額が安い順に落札。
(年3回実施)

 

「入札制」導入の見通し

経済産業省は、太陽光発電が増えすぎた場合に、入札を行うことを想定しているようです。

 

ただし、大規模な太陽光発電の買取価格を決定するのに入札方式を導入しているドイツやフランスの例をみても、入札制がコスト低減につながるとは一概に言えません。逆にコストが上昇しています。また、地域主体の事業者が落札できないという問題もあります。

 

小委員会の委員からも、「試験導入しているドイツでは地域主体の組合が落札できず、フランス環境省のデータは(入札制による)大規模な太陽光発電がむしろ高価格になっている。入札方式が本当にコスト低減につながるのか、慎重な検討が必要」という意見もだされています。

 

経済産業省は、来年の通常国会で「再エネ特措法」を改正し、入札を可能とする仕組みを導入する方針。入札の詳細な制度設計は、来年度以降とみられ、実施は数年後になりそうです。

 

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