「楽天ソーラー」パッケージ化のデメリット
(2012年7月31日)
(2014年5月12日更新)
楽天ソーラーは、パッケージ化によって、導入コストを安く抑えられることが最大の特徴です。ここでは、楽天ソーラーの「パッケージ化」が、価格を抑えるためには有効であるものの、デメリットもあることをご紹介します。
発電量で損するかも…
そもそも太陽光発電では、発電量を最大化し、より多くの売電収入を得るには、設置する家の屋根の面積・形状、周辺の環境に応じて、太陽光パネルの種類や形状、枚数を適切に選ぶ必要があります。つまり、オーダーメイドで設置することによって、発電量の最大化、効率化が図れるのです。ただし、予算の制限はありますが…。
楽天ソーラーはパッケージ化されているため、ソーラーパネルの種類・枚数が、あらかじめ決まっています。それぞれの設置場所に対し、ベストなシステムを設計し設置するわけではありません。
そのため、
- 屋根の面積からすれば、あと1~2枚設置できるのに…
- パネルの形状が長方形型でなく、台形型や三角形型ならもっと設置できるのに…
- 小さいパネルなら、もっと効果的に設置できるのに…
- 暑さ強いソーラーパネルの方がいいのに…
- 影の影響を受けにくい太陽電池なら設置できるのに…
という場合も出てくるのです。
具体的に見てみると…
現在、楽天ソーラーは、3つのパッケージが用意されています。次の3種類です。
- 初期投資を抑えるインリーソーラーの太陽電池を使う「スリム・パッケージ」
- シャープの太陽電池を使う標準タイプの「バリュー・パッケージ」
- 高性能な東芝の太陽電池を使う「プレミアム・パッケージ」
楽天ソーラー販売開始当初は、シャープ製の太陽光パネルのみで、出力(パネル枚数)によって、4タイプが用意されていました。パネル1枚の出力が185w(=0.185kw)でした。その後、出力(枚数)の異なる4タイプが追加され、全部で8タイプとなりました。
現在楽天ソーラー公式サイトには3つのパッケージが紹介されているだけで、それぞれのパッケージの中で、どういった出力タイプのものが用意されているかは明記されていません。
そこで、当時公表されていた4タイプについて見てみることにします。4つのタイプは次のようなものです。
※ パッケージ化によるデメリットを考える上では、当時のものを参照しても支障はありません。
出力 |
2.775kw |
3.330kw |
3.885kw |
4.440kw |
---|---|---|---|---|
パネル枚数 |
15枚 |
18枚 |
21枚 |
24枚 |
このように楽天ソーラーは、太陽光パネルの枚数があらかじめ決まっています。ですから、例えば屋根の面積からすれば、太陽光パネルを23枚設置できるだけの面積があったとしても、楽天ソーラーにパネル23枚のパッケージはありませんから、パネル21枚のタイプにせざるを得ません。本来なら、あとパネル2枚分の発電量を売電することができるのに、その分、損をするわけです。
パネル2枚分の発電量といえば、年間でどれくらいになるでしょうか?
日本で太陽光発電を設置した場合、地域差はありますが、出力1kwあたり年間1,000kwh程度を発電するとされています。なので、パネル2枚の年間の発電量は、
0.185kw × 2枚 × 1,000 = 370kwh
となります。2013年度の太陽光発電電力の買取価格は38円/kwhですから、年間の売電収入(全て売電したと仮定(※))は、
38円/kwh × 370kwh = 14,060円
これだけの売電収入をみすみす逃してしまうことになります。住宅用太陽光発電の場合、10年間の固定価格買取ですから、10年間では14万600円です。
※ 一般家庭からの電力買い取りは、家庭で使用して余った電力(余剰電力)が買い取り対象です。
その他にも、一般的な太陽光発電システムなら、屋根形状に合わせて台形や小さいサイズの太陽光パネルを敷き詰め、発電量を最大化することができます。また地域によっては耐久性や強度に優れた太陽光パネルがよい場合もあります。
お住まいの地域特性や周辺環境、屋根形状に合った太陽光発電システムを設置する方が、より多くの発電量と売電収入を得られる可能性があるのに、楽天ソーラーは、あなたのお宅に最適なシステムをオーダーメイドで設計するわけではないので融通が利かないのです。
楽天ソーラーの年間のおおよその発電量と売電収入
ちなみに、楽天ソーラーの年間のおおよその発電量と売電収入がどれくらいになるかを示しておきましょう。
※ 販売開始当初の4タイプについて示しています。
出力 |
2.775kw |
3.330kw |
3.885kw |
4.440kw |
---|---|---|---|---|
パネル枚数 |
15枚 |
18枚 |
21枚 |
24枚 |
年間の発電量 |
2,775kwh |
3,330kwh |
3,885kwh |
4,440kwh |
年間の売電収入 |
105,450円 |
126,540円 |
147,630円 |
168,720円 |
- 全量売電したと仮定。
- 買取価格は1kwhあたり38円(2013年度の買取価格)。
つまり、楽天ソーラーの場合、出力のタイプが1つ違うことによって、年間の売電収入で2万1,090円(10年間だと21万900円)の違いが生じるわけです(発電量の全てを売電した場合)。
あなたなら、安価な規格品? それとも発電量にこだわってオーダーメイド?
太陽光発電システムは、オーダーメイドで設計することで最大発電量を得ることができます。「より多く発電したい」なら、やっぱりオーダーメイドがおすすめです。
しかし「少しくらいなら発電量が落ちても早く元を取ってしまいたい」なら、導入費用の安い楽天ソーラーがおすすめです。要は何を優先するかです。
楽天ソーラーには、こういったデメリットもあるということを踏まえたうえで、楽天ソーラーにするか、他の太陽光発電システムにするかを決めるのがよいでしょう。
そもそも楽天ソーラーは、早期に投資回収する(早く元をとる)ことを最優先に考えられたシステムです。ですから、その点を第一にお考えなら、楽天ソーラーはオススメです。
※ なお、楽天ソーラーの対応エリアは、北海道、沖縄を除く45都道府県です。
楽天ソーラーを申し込む前の注意点
太陽光パネルの形状や素材を工夫すれば、楽天ソーラーのようにパッケージ化されたシステムより多く発電できる場合があります。通常の設置方法による見積もりと比べてみて、パネルの設置枚数や発電量が楽天ソーラーとあまり違わないようなら、価格の安い楽天ソーラーに申し込みをするのがよいでしょう。
楽天ソーラーの申し込みにあたっては、1つ注意点があります。
楽天ソーラーの申し込みは、公式サイトから現地調査の申し込みという形になっています。正確な見積もりを出すには、どこに依頼しても最終的には現地調査が必要なのですが、楽天ソーラーは現地調査に来てもらうと、その場で契約するかどうか求められます。現地調査の結果をふまえて、ゆっくり検討することはできません。
ですから、楽天ソーラーの申し込みの前に、自分の家の屋根に、どれくらいの出力規模の太陽光発電システムを設置することができるか、価格はいくらくらいかといった相場を、あらかじめ知っておくことが大切です。
そうでないと、現地調査が終わって、いきなり「設置可能だから契約書にサインをしてくれ」といわれても、即断できるものではありません。
自宅の屋根に設置可能なシステム規模や費用の相場を知るには、事前に他の複数の業者に見積もりを依頼しておくことが必要です。
それには無料一括見積もりを使いましょう。一度に複数の優良業者に、自分の家の屋根に最適な太陽光発電システムの提案と見積もりを依頼できるので便利です。
楽天ソーラーは、当初の「格安太陽光発電」から、現在は「無料一括見積もりサービス」に変更となっています。詳しくはコチラ。
(2015年4月10日更新)