化合物系太陽電池

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化合物系太陽電池の特徴

【ポイント】

  • 薄くて省資源、量産しやすい。
  • 低コスト製造が可能。
  • 製造時の環境負荷が低い。

 

化合物系は元素の組み合わせで変換効率が高くなる

現在、太陽電池の原材料の主流はシリコンですが、シリコン以外の物質でも半導体としての特性を持てば、太陽電池の原材料になり得ます。

 

単独では半導体としての特性を持たない元素であっても、組み合わせ次第でシリコンと同じような半導体の特性を持てば、太陽電池の原材料として使用することが可能です。

 

シリコン以外の物質を混ぜ合わせて作られる太陽電池を化合物系太陽電池と呼んでいます。

 

実用レベルで最高水準の変換効率を誇るのはシリコン系太陽電池ですが、実験レベルで最高水準の変換効率を出しているのは化合物系太陽電池なのです。

 

新聞報道などで、最高の変換効率を更新したというような記事を見かけたことがあると思いますが、多くは化合物系太陽電池です。元素の組み合わせを利用することで、シリコン系太陽電池以上の高い変換効率を生み出すことができるのです。

 

例えば、人工衛星に装着される太陽電池は、化合物系です。シリコンは宇宙線に対する耐性が弱いからです。

 

化合物系太陽電池の原材料として使われる物質には、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)、カドミウム(Cd)、テルル(Te)などがあります。

 

元素の組み合わせによって、太陽電池の呼び名が変わります。

 

「CIS太陽電池」と呼ばれる化合物系太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)の各元素を組み合わせたものです。ソーラーフロンティアがCIS太陽電池です。

 

「CIGS太陽電池」は、銅(CU)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を組み合わせたもの。「CdTe太陽電池」は、カドミウム(Cd)、テルル(Te)を組み合わせたものです。

 

薄膜化、量産、低コスト化が可能

化合物系太陽電池は、一般的に光の吸収率が高く、太陽電池の薄膜化が可能です。

 

実用レベルでの変換効率は、まだシリコン系太陽電池に及びませんが、実用化へ向けた実験レベルでは、結晶シリコン並の変換効率が確認されています。今後、まだまだ伸びる余地があります。

 

また、基盤を選ばないので、一般的な青板ガラスの上に太陽電池を作れるほか、金属箔やプラスチックの基盤を使って、軽量でフレキシブルな太陽電池を作ることもできます。

 

さらに、量産が可能で、使用する材料の組み合わせや生産方法によって、低コストなものから高性能なものまで作り分けることが可能とされています。

 

<参考文献>

  • 『トコトンやさしい太陽電池の本』(産業技術総合研究所太陽光発電研究センター)
  • ニュートン『最新ガイド 太陽光発電』(2011年8月)
 

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