多結晶シリコン太陽電池の特徴
【ポイント】
- 現在、主力の太陽電池。
- コストパフォーマンスに優れている。
- 表面には大理石のような複雑な模様が見える。
単結晶シリコン太陽電池は、高効率で信頼性も高いのですが、コストがかかり大量生産が難しいといった課題がありました。そういった単結晶シリコン太陽電池の弱点を改良し、低コスト・大量生産を可能にしたのが多結晶シリコン太陽電池です。
何がどのように改良されたのかというと、結晶シリコンインゴッドを製造する新しい技術が開発されたのです。
インゴッドというのは、加工に適した大きさ・形に鋳造した金属の塊です。この結晶シリコンインゴッドを厚さ200マイクロメートル(0.2㎜)程度に薄くスライスして、シリコンウェハを作ります。シリコンウェハというのは、IC(電子回路)に使われる基盤のようなものです。
単結晶シリコンインゴッドの製造は、約1,500℃で融解したシリコンをゆっくり回転させながら引き上げる方法がとられます。一方、多結晶シリコンインゴッドの製造は、約1,000℃で融解したシリコンを鋳型を使って凝固させる方法です。この方法は「キャッスル法」呼ばれます。この方法が開発されたことで、低コスト化、量産化が可能となったのです。
ただし、この方法で作られる多結晶シリコンインゴッドは、単結晶シリコンと異なり、全体が一つの結晶にはなりません。単結晶シリコンを寄せ集めた状態です。
しかも、それぞれのシリコン単結晶の境目では、シリコン原子の結合が不完全な部分が生じます。このいわば「構造的な欠陥」を補うために「パッシベーション」と呼ばれる反応を安定化させる処理が施されますが、それでも単結晶シリコンに比べて、変換効率の低下は避けられません。
多結晶シリコン太陽電池は、性能とコストのバランスがよいため、現在最も生産量の多い太陽電池です。表面には大理石様の模様が見えるのが特徴です。
<参考文献>
- 『トコトンやさしい太陽電池の本』(産業技術総合研究所太陽光発電研究センター)
- ニュートン『最新ガイド 太陽光発電』(2011年8月)
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