発電設備の適切な廃棄・処理に向け検討
(2015年4月16日)
経済産業省は2015年4月14日に開かれた新エネルギー小委員会で、今後、買取期間の終了にともない、太陽光・風力発電設備が適切にリサイクル・処理される仕組み作りが重要となることから、そのための指針を策定する考えを示しました。
経済産業省は、現行のペースで買取価格の低下が進むと「住宅用太陽光の買取価格は、早ければ2~3年程度で家庭用電力料金を下回り、非住宅用太陽光を含め、2020年ころには業務用電力料金を下回る可能性もある」としています。
また、2019年には、余剰買取制度の終期が到来する案件が出始めます。
余剰電力の買い取りは、2009年度から始まっています。2012年7月から、現行の全量固定価格買取制度がスタートしています。
太陽光発電事業に参入している事業者は、経営基盤が強固でない中小企業も少なくありません。20年間の固定価格買取期間が終了と同時に、撤退する事業者も出てくることが考えられます。廃棄物の投棄が相次ぐ恐れもあります。儲けられるだけ儲けて、あとは知らない、というパターンですね。
現在、導入されている再生可能エネルギーのうち、太陽光が9割超を占めます。そのため、今後、太陽光発電設備の処分が大きな課題となります。風力発電では、巨大な風車の処分も課題になります。
買取価格には廃棄費用も含まれている
あまり知られていないかもしれませんが、10kw以上の太陽光発電設備の買取価格には、廃棄費用(建設費用の5%)も算入されています。10kw以下の太陽光発電の買取価格には、廃棄費用は算入されていません。
【参考】「平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見」(2012年4月27日、調達価格等算定委員会)2ページ。
もともと、事業用太陽光発電の買取価格に、廃棄費用も算入しているとはいえ、事業者がそれを積み立て、廃棄する際の費用に充てる保証はありません。
そのため経済産業省は、確実なリサイクルまたは処理を担保する方策について、環境省をはじめ関係省庁と連携して実態を踏まえた検討を行うとしています。
具体的には、
- 事業者に、廃棄のための費用を独立した会計で積み立てるよう要請する
- 撤去や運搬、処分の適正な方法を関係者に具体的に明示する
- リサイクルしやすい環境配慮型の発電設備の技術開発を支援する
ことなどが、挙げられています。
長期安定で低コストな自立電源となるための基盤整備
経済産業省は、固定価格買取制度により導入された発電設備を「貴重な国民資産」と位置付けています。太陽光発電設備をはじめ再生エネ発電設備は、再エネ賦課金という国民負担によって導入されたものであり、環境に優しく、買取期間終了後も安価に発電を継続することが可能だからです。これは、もっともです。
そのため「適切な管理により長期的・安定的に運用されることが重要」としています。買取期間終了後も、太陽光発電設備は使用できます。適切なメンテナンスや更新投資などによって、長寿命化も図れます。
これまでに導入された太陽光発電は、約20GWに到達しています。年間約8GW程度のペースです。今後も同程度のペースでの導入が当面継続すると見込まれています。
ただし、これからは導入量の拡大とともに、導入された太陽光発電設備のメンテナンス体制の構築など、可能な限り長期安定的に発電するエネルギーインフラとして活用するための方策を講ずることが重要になります。
これまでは、固定価格買取制度による全量買い取りが、太陽光発電の普及の原動力となりました。太陽光発電システムの導入費用が下がり、買取価格も引き下げられる中で、今後は、需要地に近いところで発電し、自家消費する、「エネルギーの地産地消」の方向へと大きく進むことになるでしょう。
「ゼロ・エネルギー・ビル」「ゼロ・エネルギー・ハウス」「スマート・コミュニティー」などの実現へ、長期安定で低コストな自立電源となるための基盤整備が求められています。
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