電気は料金と電源(産地・発電法)で選ぶ時代

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再生エネを表示した電力販売が禁止とは!

(2015年4月18日)

突然ですが、あなたは牛肉を買うとき、価格が高くても国産を買いますか? それとも価格の安い豪州産や米国産を買いますか?

 

それぞれの家庭で、うちは安全性と美味しさからゼッタイ国産牛肉というところもあるでしょうし、わが家は安い外国産、と選ぶ基準は当然異なると思います。

 

電気だって同じではないでしょうか。2016年4月から、家庭用の電力小売りが自由化されます。すでに工場や大型ビルなどで購入する電力は自由化されていますが、2016年4月からは完全自由化となり、家庭でも電力の購入先を自由に選ぶことができるようになります。

 

いまは、大手電力会社が独占していますから、電気の購入先は住んでいる地域によって決まります。それが自由化されることによって価格競争が起き、いまよりも安く電気を購入できるようになる可能性もあります。

 

また、電力小売りが自由化されることは、電源を選ぶことができるということでもあります。

 

再生可能エネルギーで発電した電力を選んで買うこともできれば、原発で発電した電気を買いたくないというのであれば、それを避けることも可能となります。もちろん安い電気がいいというのであれば、価格で選ぶことも可能です。

 

世界でも再生エネが普及しているドイツでは、電気が何で作られたか、つまり電源構成を表示することが義務付けられているそうです。

 

ドイツでは、再生エネで作られた電気は、買取制度を利用しているか利用していないか、また、原子力や石炭、天然ガスなどから作られた電気は、それぞれ何%使っているかを公開しています。電源構成を利用者が簡単に知ることができるようになっています。

 

再生エネ普及を妨げる経済産業省

ところが経済産業省は、再生エネを強調する表示を禁止する方針を示しています。近くガイドラインを作るとしています。

 

経済産業省は、なぜ再生エネ表示を禁止するのか、理由はこうです。

  • 再生エネ電力は、FIT(固定価格買取制度)により、固定価格で買い取る仕組みです。買取費用は電気料金に上乗せされ国民が負担しています。そういった再生エネをアピールして特定の事業者が儲けるのは不公平だというわけです。
  • 環境に優しい再生エネを増やしたいという電力消費者の思いを利用して、不当に高い電力を売る業者がはびこる懸念があるということも理由としています。

 

しかし、経済産業省の再生エネ表示を禁止する「理由」は、大手電力会社や原発を守るためのものでしかありません。国民が購入する電力が再生エネに流れ、原発で発電した電力の買い手がなくなると困るからです。いまの政府が、大手電力会社と原発を守ることを最優先としているからです。

 

このことは、電力会社への再生エネ接続可能量という考え方にも現れています。本来、再エネ特措法は、電力会社に対して再生エネの全量買い取りを義務付けていますが、昨年、電力5社が再生エネ買い取りを中断したことを受け、経済産業省は、どれだけの量を受け入れ可能か、原発を再稼働させることを前提として「接続可能量」を電力会社に算定させました。

 

そして、原発を再稼働させた場合の余力を残して、受け入れを再開し、電力会社の判断で自由に太陽光発電の出力を制御できるよう出力制御機器の設置を義務付けました。

 

経済産業省の方針は、電力小売り完全自由化にも、世界の流れにも逆行するものです。ドイツで実施していることなど世界の先進例も参考にしながら、電源構成の表示を義務化することが大切ではないでしょうか。

 

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