電気代の上乗せ月474円、前年度の2倍超
(2015年3月20日)
経済産業省は19日、2015年度(平成27年度)の再生エネ賦課金単価を1kwhあたり1.58円と決定しました。標準家庭(1ヵ月の電力使用量が300kwh)で月額474円となります。
2014年度が月額225円(賦課金単価0.75円)でしたから、2倍超(2.1倍)に膨れ上がりました。年間では5,688円。5月の電気料金から適用となります。
上乗せ額は電力会社が1年間に再生エネを買い取る費用などに応じ、毎年5月に新たな価格が適用となります。2015年度の再生エネ賦課金は、2015年5月の検針分の電気料金~2016年4月検針分の電気料金に適用されます。
固定価格買取制度で電力会社が再生エネを買い取る費用は、電気料金に上乗せされ、家庭や企業が負担する仕組みになっています。そのため、再生エネが普及して電力会社の買い取り量が増えるほど上乗せ額も増えることになります。
毎年増加する再生エネ賦課金
標準家庭の電気料金への上乗せ額は、固定価格買取制度スタートの2012年度以降、毎年、ほぼ倍加しています。
2015年度の賦課金が2014年度に比べて倍加した理由は、再生エネ買取費用が倍加すると想定しているからです。
経済産業省の資料によると、2014年度の買取費用の想定額は9,000億円、2015年度の想定額は1兆8,370億円とされています。倍加した主な要因としては、
- 非住宅太陽光の導入量の拡大・稼働率の向上による買取電力量の増加
- 2014年度までに見込みを上回って導入が進んだことに伴う不足分
を挙げています。
つまり、電気料金に上乗せされる額が増えたのは、事業用(10kw以上)太陽光発電の急増が原因ということです。しかし、日本の再生エネ(水力を除く)の全発電電力量に占める割合は、わずか2.2%。スペインの26.4%、ドイツの20.9%に比べて10分の1です。決して再生エネが多すぎるわけではありません。むしろ、まだまだ普及が遅れている状況です。
再生エネの普及拡大と国民負担の抑制は両立できる
問題は、原発関連の費用を含めて電気料金を算定しているところにあります。原発再稼働を前提とした接続可能量なるものを導入したことにも、再生エネよりも原発を優先する政府の姿勢が現れています。
また、再生エネは思い切って普及させれば、導入コストを下げ、買取単価も引き下げることが可能です。
ですから、政府が本気で再生エネの普及を目指すのなら、再生エネの拡大と国民負担の抑制は両立することは可能なのです。
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