再生可能エネルギー賦課金見直しに経済産業省が着手

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経済産業省が「再生可能エネルギー賦課金」見直しに着手

(2014年1月9日)

再生可能エネルギー賦課金の算定方法の見直しに経済産業省が着手するようです。

 

太陽光などの再生可能エネルギーの普及拡大を後押しするために、2012年7月から全量固定価格買取制度が始まっています。家庭や再生エネルギー発電事業者が発電した電力を、電力会社が10年間あるいは20年間、固定価格で買い取る制度です。

 

電力会社が買い取る費用は、毎月の電気料金に「再生可能エネルギー賦課金」として上乗せされます。賦課金は、いわば「再生可能エネルギーを創り出すコスト」を電力消費者が負担するものです。

 

「再エネ賦課金」が過大に上乗せ?

この賦課金の算定方法をめぐっては、「過大に上乗せされている」との批判がありました。経済産業省は、「いまの仕組みでは、賦課金の計算方法を見直しても、利用者の負担はほとんど変わらず、高くなる可能性もある」などと見直しに消極的でしたが、やっと重い腰を上げたようです。

 

見直しが実現すれば、家庭や企業が毎月電気代とともに支払う賦課金が安くなります。経済産業省は、近く専門家による委員会で具体策の検討を始めるようです。

 

再生可能エネルギー賦課金の計算方法

賦課金額は、「再生可能エネルギー電力の買取費用(見込額)」と「制度運用に関わる事務費用(見込額)」から、「回避可能費用」の見込額を差し引いて計算されます。

 

回避可能費用というのは、電力会社が自社発電費用を節約できる額のことです。再生可能エネルギー電力を買い取ることで、その分自社で発電をしなくて済むので、火力発電などの稼働を減らし燃料費や発電設備を削減できます。

 

公益財団法人・自然エネルギー財団が、回避可能費用の計算方法に関する分析を行い、賦課金が課題になっていることを指摘しています(2013年9月)。簡単にご紹介しておきます。

 

2013年度でみると、買取費用の見込額は4,800億円、回避可能費用の見込額は約1,700億円とされ、残りの約3,100億円が、賦課金として電気料金に上乗せされ、電力消費者から回収されることになっています。

 

ここで問題になるのが、回避可能費用です。現在、回避可能費用単価は、すべての電源の燃料費などの運転単価の平均値を使っています。

 

しかし、「この全電源の運転単価の平均値を使った方法は、実際の回避可能費用を計測する方法としては妥当な方法とはいえない」と自然エネルギー財団は指摘しています。「自然エネルギー電力を買取るとき、電力会社にとっては、もっとも単価の高い電源から優先的に削減するほうが経済上合理的だから」です。

 

欧米では、回避可能費用の試算には、こうした考え方がベースにされているようです。

 

自然エネルギー財団は、運転単価の最も高い「石油火力の運転単価を回避可能費用単価として採用するのが合理的」としています。

 

それに基づいて計算し直すと、回避可能費用は約2,700億円、賦課金は約2,100億円となり、約1,000億円安くなると試算しています。つまり、再エネ賦課金は今よりも約32%安くできるというわけです。

 

(詳細は ⇒ 公益財団法人・自然エネルギー財団「回避可能費用の計算方法に関する分析」

 

賦課金低下に期待

経済産業省が見直しを検討するのは、この回避可能費用の計算方法です。

 

昨年(2013年)11月18日、経済産業省は、2020年度の賦課金の総額が、2013年度の約3,100億円から約5,000億円増えて、約8,100億円(2.6倍)になるという試算を公表しています。

 

電力消費者に過大な負担をかけることなく、再生可能エネルギー発電の普及が進む仕組みづくりを期待したいところです。

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