新電力会社に変更すると停電しやすくならないか心配
大手電力会社から新電力会社に電気の購入先を変更したとしても、電気の品質が悪くなったり、停電しやすくなるといった心配はありません。電気の安定性は、これまで通り何ら変わりません。
購入先を切り替えても、これまで通り、電気は大手電力会社の送配電設備を通じて各家庭に届けられます。新しく契約する小売電気事業者が、送電線を家庭に引くわけではありません。
また、地震や台風などの自然災害が発生して、電線が切れたり、電柱が倒れたりしたときも、既存の大手電力会社が修繕します。
ですから、電気を購入する会社によって停電しやすくなったり、サポートが変わるわけではないのです。
「電気の質」って何?
ところで、「電気の質」とは何なのでしょうか?
2014年に大手電力会社が再生エネ電力の買い取りを拒否したことを覚えている方もいると思います。これを受けて経済産業省は、再生エネの新たな接続ルールを決めました。
このとき、大手電力会社が再生エネの受け入れを中断する理由として言っていたのが、これ以上再生エネを受け入れ続けると、電気の質が悪くなり、停電しやすくなるというものです。
ここで「電気の質」というのが出てきました。
電力会社の説明によると、発電量が増えて過剰な電力が送電網に送り込まれると、周波数(50Hz・60Hz)が乱れて、「電気の質」が悪くなるというのです。
つまり、「電気の質」というのは、周波数の安定性ということです。ですから、電気を購入する電力小売り事業者を変更することで、電気の質が変わるということはないのです。
【参考】 太陽光発電の電力が増えると電気の質が悪くなるとは?
なお、このとき電力会社が「電気の質が悪くなり停電する」と言っていたのは、再生エネをこれ以上受け入れ続けると、原子力発電による電力供給の枠がなくなることを恐れたためにすぎません。
現在、原子力発電を全て再稼働することを前提として、再生エネの接続可能量という枠を設け、それを超えそうになると電力会社が一方的に再生エネの出力を制御するという方法が採られています。
海外では名実ともに再生エネが主流になっています。ところが日本では、再生エネの拡大をうたいながら、実際には、いつまでも原発や石炭火力に固執し、再生エネの普及拡大を妨げているのです。
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