電力5社が再生エネ電力の新規受け入れを中断
(2014年10月16日)
電力5社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)が、再生可能エネルギー電力の新規受け入れを中断しています。太陽光など再生可能エネルギー発電による電力供給量が需要量を上回り、安定供給できなくなる恐れがあるというのが理由です。
これらの地域では、発電設備建設のための土地を比較的確保しやすいため、申請が偏ったとみられています。
なお、住宅用太陽光発電(10kw未満)については、沖縄電力以外は当面対象外で、これまで通り系統連系申込みに対する回答は継続されています。
新規受け入れ保留の時期と内容
再生可能エネルギー発電設備の系統連系申込みに対する回答保留の措置をとっている電力会社の発表内容は次の通りです。
電力会社 | 適用開始 | 内容 |
---|---|---|
北海道電力 |
10月1日 |
|
東北電力 |
10月1日 |
|
四国電力 |
10月1日 |
|
九州電力 |
9月25日 |
|
沖縄電力 |
9月30日 |
|
(適用開始年はすべて2014年)
電力会社による一方的な中断に疑問
9月下旬に電力会社による「再エネ受け入れ中断」の発表が相次いだことを受け、経済産業省は、再生可能エネルギー買取制度の抜本見直しに入りました。
接続可能量を超過する恐れがあるから、系統への接続申込みに対する回答を保留するという措置は、緊急避難措置として理解できないわけではありません。しかし、十分に納得できる説明もなく、電力会社のみの判断で一方的に新規受け入れを中断するやり方には疑問を感じます。
設備認定を受けていても、実際に発電を開始しているのは約20%、5分の1の発電設備でしかありません。発電事業を中断しているものも多数あり、今後、認定取り消しということも想定されます。
また、そもそも再エネ発電設備の接続、電力買取は、法律で電力会社に義務付けられたものです。それを電力会社の一方的な判断によって、受け入れを中断するということが許されるのでしょうか。
電力会社も国も、原発再稼働には熱心です。そんな中で、再生可能エネルギー発電導入を抑制しているとしか思えません。
自然エネルギーへの移行は、いまや世界的な流れです。電力会社は国民が納得できる情報を公開し、国として系統接続のルール作りを早急に行う必要があるでしょう。
再エネ特措法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)では、電力会社に対し、認定を受けた発電事業者からの接続請求に応じる義務を課しています。
また、電力会社は、自らの火力等の出力抑制を先に行い、再生可能エネルギーを優先的に引き受けるよう義務付けられています。
しかし一方で、電力会社は「正当な理由」があれば接続請求を拒否できるという抜け道を用意しています。
「正当な理由」については、再エネ特措法施行規則(経済産業省令)に限定列挙されています。おもな拒否できる「正当な理由」は次のようなものです。
- 500kw以上の太陽光または風力発電設備について、一定の措置を行ってもなお必要な年間30日以内の無補償で行われる出力抑制に同意しない場合。
- 当該接続により接続希望地点における送電可能な容量を超える場合。
- 電気事業者が受け入れることが可能な電気の量を超えた電気の供給を受けることとなる場合。
なお、電力会社が拒否する場合には、接続請求した発電事業者に対し書面により、拒否する理由の合理的な根拠を示さなければならないとされています。
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