太陽光発電設備に発電制御装置の設置義務付けへ

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太陽光発電設備に発電を遠隔操作できる制御装置の設置義務付け

(2014年12月18日)

日経12月18日付け報道によれば、経済産業省は、電力会社が太陽光発電設備の発電量を遠隔操作で制御できる装置の設置を発電事業者に義務付ける方針を固めたようです。家庭用も対象となる方向です。

 

現在は、出力500kw以上の発電設備に対して、年間30日を上限に電力会社は無補償で発電抑制を要請できるルールですが、対象を500kw未満のすべての設備に拡大します。

 

あわせて、1日単位で制限する現行の仕組みを改め、時間単位で制限できるようにします。より機動的に発電量を調整できるようにするためです。

 

いまは電力会社が発電事業者に対して、前日までに電話で出力抑制を要請していますが、電力会社が遠隔操作で発電を制御できるよう、発電事業者が制御装置を設置することになります。

 

なお、時間単位の発電抑制は、1日単位の発電抑制に比べて、発電事業者側のメリットもあり、1日単位で出力抑制を要請されるよりも売電量の減少幅を抑えることができます。時間単位での発電抑制のメリットについてはこちらのページをご覧ください。

 

「全量買い取り」の制度の前提が崩れる

ただし、これにより「全量買い取り」という制度の前提そのものが崩れてしまうのではないでしょうか。

 

あるいは、すでに大規模発電所では出力抑制を受けているし、電力会社が買い取りを中断するということが堂々とまかり通るのですから、実質的にはすでに崩れてしまっていると言えなくもありません。

 

今後は、電力会社が遠隔操作で発電量をいつでも制限できるようになります。運用の透明性が求められるでしょう。

 

時間単位での発電抑制の上限

電力会社が発電抑制できるのは、原則として、太陽光は年360時間、風力は年720時間を上限とする方針のようです。太陽光が風力の半分なのは、太陽光は夜間に発電しないからのようです。

 

なお、九州電力や東北電力など、すでに再生エネの受け入れ容量が限界を超えているとされる電力会社には、すでに北海道電力が実施しているように、30日超の発電制限を認める方針のようです。

 

制御装置の価格

気になる制御装置の価格ですが、

  • 10kw未満の住宅用では、1台5千円前後
  • 10~500kwの設備は、5万~10万円
  • 500kw以上の設備では、70万円~100万円

程度となる見通しです。経済産業省は今後、費用負担の在り方などを検討する考えを示しています。

 

経済産業省が遠隔出力制御システムの設置義務付けを決定(12月18日)

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