グリーン投資減税で節税
(2013年4月22日)
(2015年4月10日更新)
グリーン投資減税とは
固定価格買取制度の認定を受けた10kw以上の太陽光発電設備を取得し、1年以内に事業の用に供した場合に税優遇が受けられる制度です。
太陽光発電設備のほか、風力発電設備、コージェネレーション設備(熱電併給型動力発生装置)、中小水力発電設備、高断熱窓設備、高効率空気調和機、高効率照明、定置用蓄電設備等もグリーン投資減税の対象となります。
即時償却は、風力発電設備に限り適用。太陽光発電の即時償却は、2015年3月31日取得分までで終了しました。
税優遇の概要
次のいずれかを選択可能。
- 特別償却:普通償却に加えて取得価額の30%相当額を導入年度に償却できる。
- 即時償却:取得価額の100%を導入年度に償却できる。
- 税額控除:中小企業者等に限り、取得価額の7%相当額を導入年度に税額控除。
税優遇を受けられる条件
対象者 |
青色申告を提出する個人・法人 |
---|---|
対象設備 | 太陽光発電の場合:10kw以上 |
期間 |
2013年度~2016年度の4年間 |
グリーン投資減税の内容
税優遇制度には3種類あります。それぞれの内容を見てみましょう。次のような条件で考えてみます。なお、個人事業主の場合は、法人税を事業所得にかかる所得税と読み替えてください。
- 太陽光発電システム設備容量:30kw
- 1kwあたりの設置費用:40万円
- 法人税率(実効税率):35%
- 普通償却率(定率法償却率):11.8%
- 法定耐用年数:17年(太陽光発電システムは17年)
- 経常利益:5,000万円
産業用太陽光発電システムの平均設置費用(1kwあたり)は、経済産業省の資料によれば、10kw以上・50kw未満のシステムの場合、2013年10-12月期には36.9万円でした。詳しくはこちら。
この設例の場合、太陽光発電設備の初期投資額(取得価額)は、
400,000円/kw×30kw=12,000,000円
まず、特別償却(即時償却を含む)や税額控除がない場合、すなわち普通償却によるときの法人税額は次のようになります。
初年度償却額 | 12,000,000円×11.8%=1,416,000円 |
---|---|
課税対象額 | 50,000,000円-1,416,000円=48,584,000円 |
法人税 | 48,584,000円×35%=17,004,400円 |
100%即時償却
100%即時償却は、太陽光発電導入初年度に、取得価額の100%償却ができる制度です。太陽光発電設備を導入した年度の節税効果は非常に大きなものになります。
初年度償却額 | 12,000,000円×100%=12,000,000円 |
---|---|
課税対象額 | 50,000,000円-12,000,000円=38,000,000円 |
法人税 | 38,000,000円×35%=13,300,000円 |
初年度優遇税額 | 17,004,400円-13,300,000円=3,704,400円 |
30%特別償却
30%特別償却は、太陽光発電設備の導入初年度に、普通償却に加えて取得価額の30%を課税対象額から償却することができる制度です。初年度に大きな節税効果が見込まれます。
2年目以降は、普通償却率による減価償却となります。
初年度償却額 | 12,000,000円×(11.8%+30%)=5,016,000円 |
---|---|
課税対象額 | 50,000,000円-5,016,000円=44,984,000円 |
法人税 | 44,984,000円×35%=15,744,400円 |
初年度優遇税額 | 17,004,400円-15,744,400円=1,260,000円 |
7%税額控除
7%税額控除は、通常支払う税額(普通償却によって算出される税額)から、太陽光発電設備取得価額の7%相当額の税額控除を受けることができる制度です。
特別控除(即時控除を含む)のように償却後所得に対して法人税率を掛けるのでなく、普通償却で法人税が確定した後に、太陽光発電設備取得価額の7%相当額が税額から控除される仕組みです。
ただし、控除額が当該事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合は、その20%相当額が上限です。なお、控除しきれなかった金額については、1年間の繰り越しが認められています。
取得価額の7% | 12,000,000円×7%=840,000円 |
---|---|
法人税 | 17,004,400円-840,000円=16,164,400円 |
※ 17,004,400円は普通償却により算出される税額です。
※ 太陽光発電システム取得費の7%相当額が控除額になります。
どの優遇措置を利用するのがトクか?
特別償却(全額即時償却を含む)は、太陽光発電設備の場合、通常17年かけて償却するところを、減価償却費を前倒しで計上できるというものです。累計償却額が増えるわけではありません。
100%即時償却は、1年目で償却が終了するということで比較的分かりやすいでしょうが、30%特別償却は、1年目に普通償却(11.8%)と取得価額の30%、すなわち41.8%をまとめて償却し、残り約60%を普通償却していくというイメージです。
なので、特別償却(即時償却含む)は、太陽光発電設備の導入初年度の税額を安くできるというメリットはありますが、償却終了後、特に即時償却の場合は2年目以降から、通常の償却の場合よりも税額が増えることになります。
それに対して7%税額控除では、減価償却を通常通り行い、減価償却にともなう税額減のほか、それに加えて通常の税額から取得額の7%相当額の税額が軽減される仕組みです。
つまり、通常償却期間(17年間)全体で見れば、30%特別償却・100%即時償却は、直接的な税額の軽減はありませんが、7%税額控除では、太陽光発電システム取得価額の7%相当額の納税が免除されるということです。
ですから、基本的には7%税額控除を利用するのが有利といえるでしょう。ただし、税額控除を利用できるのは「中小企業者等」です。
「中小企業者等」について経済産業省・資源エネルギー庁は、次のように説明しています。
以下に該当する中小企業者又は農業協同組合等
- 大企業の子会社等を除く資本金1億円以下の法人又は資本・出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人。
- 個人事業者においては常時使用する従業員数が1,000人以下のもの。
- 農業協同組合等。
グリーン投資減税の特別控除と税額控除の違いについてはこちらも参考にしてみてください。
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