太陽電池の国内市場は急拡大
(2013年7月25日)
国内最大の太陽電池見本市「PVジャパン2013」が7月24日~26日の日程で、東京ビッグサイトで開催されました。「PVジャパン」は、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)主催の太陽光発電の総合イベント。今年は185社・団体の出展です。初参加が86社・団体です。
中国メーカーが欧州市場から日本へ
今年のPVジャパンには、日本市場をねらう海外メーカー26社が初参加しましたが、そのほとんどが中国メーカーです。中国の太陽電池メーカーが、欧州から日本へ軸足を移しつつあることをうかがわせます。
欧州での買い取り価格引き下げの影響
再生可能エネルギーの買い取り制度を早くから導入した欧州では、すでに買い取り価格の引き下げで太陽電池の需要が減り、中国製の太陽電池が市場にあふれるなどして、太陽電池の価格競争が激しくなっています。
欧州では中国製太陽光パネルに反ダンピング課税
今年6月4日には、欧州連合(EU)の欧州委員会が、中国製の太陽光パネルが不当に安い価格で輸入・販売されているとして、同製品に反ダンピング(不当廉売)課税を導入すると発表しました。ドイツなど多くの加盟国は課税に消極的でしたが、欧州委は域内の企業が不当な競争条件によって被害を受けていると判断。税率は当初2カ月は11.8%とし、中国側の対応がなければ平均47.6%に引き上げられます。
こうしたことから、これまで欧州市場に力を注いできた中国メーカーが、「日本の方が条件がいい」ということで、軸足を日本へ移し始めたようです。
買い取り制度スタートで国内出荷量が急上昇
太陽電池の国内出荷量は、昨年7月の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度のスタートで急速に拡大しました。相次ぐメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設などが市場を後押ししています。
経済産業省のまとめによると、2012年7月から2013年2月までの自然エネルギー発電設備認定のうち約94%を太陽光発電が占め、発電規模は12ギガワット以上に達しています。
また、太陽光発電協会(JPEA)の資料によれば、2012年度の太陽電池国内出荷量は、前年の2.7倍も増えています。
さらに米調査会社のIHSは、世界第3位の日本市場が、今年はドイツを超えて1位になると予想しています。
※ 太陽光発電協会(JPEA)のデータをもとに作成
国内メーカーの動向
生産能力の向上
パナソニック
昨年12月より、マレーシアで450億円を投じた新工場で生産を開始。生産能力を1.5倍に増強します。
三菱電機
今年5月、数億円を投入して太陽電池の生産量を約1.4倍に増やしました。
ソーラーフロンティア
昨年末から稼働を一時休止させていた宮崎第2工場を今月、再稼働させました。
2015年問題を懸念し付加価値を高めメンテナンス機器を強化
太陽電池の普及と量産化が進み、発電コストの低下が予想されるため、政府は2015年に買い取り価格を引き下げる予定です。
そのため業界では、太陽電池の需要鈍化が予想される「2015年問題」を懸念。生産抑制の動きも一部にありますが、他社との差別化のため付加価値の高い太陽電池を投入したり、安定した収益を確保しようとメンテナンス機器の強化にも乗り出しています。
シャープ
国内首位のシャープは、昨年12月、葛飾工場(奈良市)の稼働を停止しました。足りない分は海外メーカーなどから調達する方向のようです。今年のPVジャパンには、来年前半に発売予定の「メガソーラー掃除ロボット」をに出展。風雨にさらされた太陽電池は表面に付いた汚れで発電効率が低下する恐れがあることから、ロボットの導入で「人件費が削減できる」とアピールしています。
東芝
東芝は、今後も自社で太陽電池を作らず、米メーカーから調達する方向です。東芝はもともと、米サンパワー社の太陽電池を使っています。東芝は、太陽電池と蓄電池、家電をつなぎ合わせて電気を効率的に使うシステムに力を注いでいます。
パナソニック
パナソニックも、太陽電池と蓄電池、家電をつなぎ合わせて電気を効率的に使うシステムに力を注いでいます。
京セラ
京セラは、家庭向けの太陽電池とリチウムイオン蓄電池を出展。買い取り価格が年々下がり、売電の利幅が減るため、「蓄電池を併用して自家消費に回す傾向が強まる」とみて、太陽電池と蓄電池のセット販売を強化する方向です。
ソーラーフロンティア
ソーラーフロンティアは、スマートフォン並みの厚さ約6.5ミリの薄型太陽電池を出展。重さを従来比で4割減らし、住宅の屋根などに設置しやすくしています。
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