太陽光発電の買取価格は最安太陽光パネル価格を参考に算定へ

MENU
※当サイトでは記事内にアフィリエイト広告を含む場合があります。

太陽光買取価格を最安太陽光パネル価格を参考に算定へ

(2014年11月24日)

経済産業省は、太陽光発電の買取価格算定にあたり、従来の平均的な発電コストを参考にする方式から、太陽光パネルの最低価格水準などを参考に方式に変更する方向で検討しているようです(徳島新聞、11月23日)

 

固定価格買取制度では、制度の適用を受けて運転を開始した設備は、国にコストデータ(設備の建設や運用にかかった費用)の提出が義務付けられています。経済産業省では、その報告をもとに平均コストを算出し、事業者の利潤を加えて買取価格を決めています。

 

太陽光発電の買取価格は、急速に普及してきたことから毎年引き下げられています。10kw以上の太陽光発電設備の買取価格は、制度開始初年度の2012年度は40円/kwhでしたが、2013年度は36円/kwh、2014年度は32円/kwhと低下しています。

 

しかし、市場では低価格の太陽光パネルが大量に流通しているため、買取価格の低下を考慮しても、安い太陽光パネルを採用して、「差益」を手にしている事業者が多くあるとみられています。そのため経済産業省は、太陽光パネルなど資材価格の最低水準を買取価格に反映させる考えです。

 

普通に手続きを進めても、安い太陽光パネルを採用すれば「差益」を手にできる

今年度(2014年度)の買取価格の算定方法で見てみましょう。買取価格の検討が開始されたのは2014年1月からです。そして3月に決定されました。年度が替わって4月から1年間、その価格が適用となります。この流れは例年同じです。

 

買取価格算定の際に参考にされるのが前年(2013年)10月~12月期のコストデータの平均値です。コストデータには、システム費用、土地造成費用、接続費用、運転維持費、土地賃借料が含まれます。それぞれについて検証され、買取価格が決まります。

 

このように、毎年、10月~12月期の導入実績にもとづく平均価格を使用して、翌年度の買取価格を算定するので、低価格の太陽光パネルに仕様変更した場合はもちろん、普通に手続きを進めたとしても、買取価格算定の根拠となった平均価格よりも安い太陽光パネルを採用するこで、「差益」が手に入るのです。

 

そのため、太陽光パネルなど資材の最低水準価格を買取価格の算定に反映させる方向で検討されているというわけです。

 

最低価格水準といっても、太陽電池の種類によっても、メーカーによっても価格が異なります。10kw以上といっても小規模設備とメガソーラーでもシステム価格は異なります。

 

具体的な姿は明らかになっていませんが、いずれにしても来年7月以降は太陽光については買取価格優遇措置なくなることもあり、太陽光パネルの価格が決定的に重要となります。太陽光パネルの価格競争に拍車がかかりそうです。

 

なぜ10kw以上は買取区分がない?

買取価格算定の際に参考にするシステム費用は、1,000kw以上の設備の平均費用が用いられます。容易に想像つくと思いますが、出力規模の大きい方、つまり太陽光パネルの使用枚数の多いメガソーラーの方が、小規模な発電システムよりも平均費用は安くなります。

 

本来なら設備容量に応じて区分し、それに応じて買取価格も細分化すべきと思うのですが、そうはなっていません。大規模発電設備に有利な買取価格になっているといえるでしょう。

 

経済産業省の調達価格等算定委員会では、500kw未満の別区分化が検討はされていますが、

  • 現状価格でも多数申請していること
  • 運転維持費は発電容量の小さい方が安くなり、システム費用以外のコストも勘案すれば差は縮まること

などの理由から、別区分化が見送られています。ただし、別区分化の必要性については、来年度以降も引き続き調査を行うこととしています。

関連ページ

太陽光発電の買取価格は最安太陽光パネル価格を参考に算定へ関連ページ

太陽光発電の固定価格買取制度に総量制導入か?
2014年6月17日に経済産業省の総合エネルギー調査会 新エネルギー小委員会の第1回が開催され、再生可能エネルギーの固定価格買取制度見直しへ検討を開始しました。
大規模太陽光(メガソーラー)の新規認定一時停止へ
経済産業省は大規模太陽光発電所(メガソーラー)の新規認定を一時停止する方向で検討に入りました。再エネ買い取り手続きを中断する動きが電力会社に広がっている事態に対応するためです。
電力5社の再エネ受け入れ中断を受け固定価格買取制度抜本見直しへ
電力5社が再生エネ発電設備の系統接続申し込みの回答を保留することを相次いで発表したことを受け、経済産業省は固定価格買取制度の抜本見直しに入りました。
再生可能エネルギー受け入れ拡大策を経済産業省が検討開始
経済産業省は電力5社が再生可能エネルギーの新規受け入れを停止している問題で、電力各社の受け入れ可能量の検証と受け入れ拡大策の議論をはじめました。
再生エネ電力買取価格を半年ごとに見直しへ
再生可能エネルギーの固定価格買取制度では、現在、年度ごとに買取価格の見直しが行われていますが、今後は半年ごとの見直しになる方向です。
再生エネ拡大方策として時間単位での出力抑制ルール作り検討
10月30日、経済産業省の系統ワーキンググループで、再生エネ接続可能量の拡大方策について具体的な検討が始まりました。
再生エネ買い取り価格の決定時期|系統接続決定時点の価格を適用へ
経済産業省は再生可能エネルギー買取価格の決め方を見直し、系統接続決定後の価格を適用するよう改める方向です。
揚水発電を余剰再生エネ対策として有効利用すれば受け入れ量拡大
揚水発電の利用率が3%止まりであることが経済産業省の調査で分かりました。再生可能エネルギーが余剰になったときに利用すれば、再生エネ受け入れ拡大の余地があります。
再生エネ発電設備を変更すれば買取価格を最新の価格に引き下げ
経済産業省は、再生エネ買取価格が決まった後も長期間にわたり設備を設置せず、当初導入予定の設備よりも安い価格で発注する場合、買取価格を変更時点の価格に引き下げる方向で検討に入りました。
太陽光発電の買取価格優遇措置2015年6月末で終了
2014年11月5日に開かれた経済産業省・新エネルギー小委員会で、再生エネ事業者からの優遇価格での買い取りについて、太陽光は当初予定の3年間で終了することが確認されました。
再生エネ買い取り契約|早期に発電開始可能な事業者を優先
国の設備認定を受け電力会社への接続枠を確保していながら長期間発電を開始しない事業者の接続権利は失効し、後発でも早期に発電のめどが立っている事業者を優先して買取契約する方針が示されました。
住宅用太陽光発電の電力を優先買い取りへ
経済産業省は、地熱・水力に加え、住宅用太陽光も優先して買い取るよう電力会社に要請する方針を示しました。
再生エネ受け入れ容量不足で発電抑制拡大へ/住宅用太陽光にも
太陽光発電の受け入れを中断している電力5社の受け入れ可能容量が、認定済み発電量の半分程度に留まることが、経済産業省の試算で分かりました。そのため無補償の出力抑制を拡大する方向です。
電力7社が太陽光発電の受け入れ可能量(接続可能量)を公表
再生エネの買い取りを中断している電力5社を含め電力7社が、太陽光の受け入れ可能量を12月16日の新エネルギー小委員会で発表しました。
原発再稼働を前提とした再生エネ受け入れ可能量(接続可能量)算定
経済産業省と電力会社は、再生エネ受け入れ可能量の算定にあたり、原発再稼働を前提としています。原発による電力供給を含めなければ、再生エネ受け入れ可能量は大きく増えます。
太陽光発電設備に発電制御装置の設置義務付けへ
経済産業省は、太陽光発電設備の発電を電力会社が遠隔操作で制御できる装置の設置を家庭用も含めて太陽光発電事業者に義務付ける方針を固めたようです。
太陽光発電の企業向け買取価格2015年度は20円台に
経済産業省は企業が太陽光で発電した電力の買取価格を2015年度20円台で調整していることが明らかになりました。
住宅用太陽光発電の出力抑制ルールの適用を4月に延期
経済産業省は1月16日、固定価格買取制度の見直しで当初の1月中旬からとしていた発電抑制ルールの住宅用(10kw未満)太陽光発電への適用について、4月1日に延期する方針を示しました。
固定価格買取制度の新ルール
経済産業省は12月18日、再生エネの最大限導入に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて発表しました。