再生エネ受け入れ容量不足で発電抑制拡大へ
(2014年12月12日)
再生エネ買い取り手続きを中断している電力5社の太陽光発電の受け入れ容量が、認定設備の発電量に比べ、大幅に不足することが経済産業省の試算でわかりました。
ただし、原発再稼働を前提とした受け入れ可能量の試算となっており、大いに問題があります。
特に九州電力、東北電力では、受け入れ可能容量は、認定設備量の半分以下に留まる見通しです。そのため両電力管内では、出力抑制を拡大する方針です。
現在は、電力会社が需要に合わせて、年間30日間を上限に、500kw以上の再生エネ発電事業者に対して無補償で出力抑制の要請をできる仕組みになっています。
九州電力、東北電力管内では、再生エネ発電事業者に対して、補償金なしで発電抑制を要請できる日数を30日を超えても認める方向で検討しています。
また、1日単位で実施していた出力抑制を時間単位でできるような仕組みにする方向です。
これまでは、電力会社が前日までに事業者に電話で伝えて了承を得ていましたが、見直し後は、発電所に通信装置の設置を義務付け、電力会社が発電を一時的に抑制できる仕組みにします。発電所への通信装置の設置が、電力買取の条件になる可能性もあるようです。
発電抑制の対象は、メガソーラーや風力発電を優先しますが、必要な場合には、住宅用太陽光も発電抑制の対象にすることが検討されています。
経済産業省の試算概要
経済産業省の試算によれば、電力5社の太陽光発電の受け入れ容量は、合計1,700万kwとみられます。5社管内の太陽光発電事業者の認定設備の発電量は3千万kwですから、受け入れ可能容量は半分程度となる見通しです。
特に、九州電力管内では、設備認定量1,800万kwに対して、受け入れ可能容量が800万kw、東北電力管内では、認定量1,100万kwに対して、受け入れ可能容量が500万kwと、どちらも大幅に下回る見込みです。
その他の電力会社では、北海道電力、沖縄電力も、受け入れ枠が設備認定量に届かず、四国電力は受け入れ容量が近く不足する可能性があるとされています。北陸電力、中国電力は、まだ余裕があるものの予断を許さない状況。東京電力、関西電力、中部電力は、受け入れ容量に余裕があるとされています。
(参考:日経12月11日、徳島新聞12月12日)
原発再稼働の動きがネックに
原発再稼働の動きが、出力抑制に与える影響も懸念されます。原発は太陽光発電よりも優先的に送電網に受け入れることになっていて、再稼働が進むと、太陽光の出力抑制が増える恐れがあります。
再エネ特措法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)では、電力会社に対し、認定を受けた発電事業者からの接続請求に応じる義務を課し、電力会社は、自ら所有する発電設備の出力抑制を行い、再生可能エネルギーを優先的に引き受けるよう義務付けられています。
しかし、出力抑制を行わなければならない自ら所有する発電設備から、原子力発電設備は除外されています。
(参考:施行規則第6条1項3号)
安倍政権のもとで、原子力発電をベースロード電源と位置付けられたエネルギー基本計画と、原発再稼働の動きが、再生可能エネルギーの普及に大きな障害となりそうです。
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