電力5社が再生エネ買い取り再開の方針
(2014年11月23日)
日経11月23日付報道によると、再生エネ買い取りを中断している電力5社が、買い取りを再開する方針です。まず九州電力が、年内にも買い取り再開の方針を表明する見通しです。
現在、国の方で検討されている供給制限策(出力抑制ルール)の導入が決まれば、九州電力は買い取り再開を表明し、早ければ年内にも手続きを再開すると伝えられています。
四国電力も「12月中旬には結論を出す」ことを表明しています(10月30日、社長定例会見)。経済産業省は、12月上旬に出力抑制ルールなど再生エネ拡大方策について結論を出す予定です。12月中旬ごろまでには、電力各社が買い取り再開を表明する見通しです。
国が検討を進めている再生エネ拡大方策
経済産業省は、再生エネ拡大方策として2つの対策をとることを検討しています。①認定後も長期間発電を始めない事業者の排除、②発電量の制限の2つのルール作りです。
国から設備認定を受け、電力会社が買い取りを決定しているにも関わらず、長期間発電を開始しない設備の認定を取り消します。電力会社と買取契約を結びながら、発電設備を稼働しない事業者の存在が、新規事業者の参入を妨げているからです。
発電設備を稼働しない理由は様々です。太陽光パネルの価格が下がるのを待って発注しようとしている事業者もいれば、事業計画の熟度が低かったため進まないといったこともあります。いずれにしても、買取価格が高いうちに電力会社と契約だけ先に済ませておくのがねらいです。
そういった事業者を排除して、新規参入を希望する事業者の受け入れ枠を増やすために、一定期間たっても発電を開始しない設備の認定を取り消します。
電力会社が事業者の発電量を制限できる制度の拡大が検討されています。現在、電力会社は、500kw以上の発電設備を対象として、年間30日まで無補償で出力抑制を発電事業者に要請できます。年間30日を超えると補償金を支払わなければいけません。
そこで、電力会社が補償金を支払わずに発電量を制限できる期間を延ばすことが検討されています。これにより、電力会社は買取量を調整しやすくなるので、買い取り手続きを再開できるとみています。
電力会社としては、これがねらいなのでしょう。再生エネ発電事業者にとっては、頻繁に発電量を抑制されると採算が合わなくなり、新規参入のリスクが高まります。
本来、再エネ特措法では、電力会社には再生エネを優先して買い取ることが義務付けられています。電力が供給過剰になるときは、自社の発電量を抑制して再生エネを買い取らなければいけません。今後、電力会社による発電事業者に対する出力抑制要請が適正に行われているかどうかチェックする仕組みも必要だと思います。
その他の対策
九州電力では、現在、手続きを保留している大半が低圧敷地分割の設備とされています。低圧敷地分割は2014年度から固定価格買取制度の設備認定がされなくなりました。そのため、2013年度末に申請が殺到し、九州電力側の事務負担とコストが膨らんだとされています。そのため、買い取り再開後は、分割した小規模施設(低圧敷地分割)は認めない方針です。
その他、経済産業省は、蓄電池設置への補助や、電力会社同士で送電網を相互利用する際のルールについても検討しています。
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